熱中症を防ぐためには?浸透圧から考える水分補給の方法

この季節になるとスポーツドリンクのCMが多く流れますが、スポーツドリンクには少々疑問があります。
そこで、水がどうやって吸収されるのかを知るため、「浸透圧」の事を簡単に書いてみます。

浸透圧というのは、濃度の違う水溶液間を半透膜で隔てると、濃度の薄い方から濃度の濃い方へと濃度が同じになるまで水が移動するという事であり、飲んだ水は小腸(半透膜になります)から体内へ吸収されます。

スポーツドリンクの発売当時、体液と同じ濃度だという「等張性飲料」としてCMが流れたのを記憶してます。
しかし、体液と同じ濃度では水分の吸収は出来ないのです。

ではどのようにして吸収させているかと言うと、糖分で濃度差を作っていますので、ふだん水分の補給のためにスポーツドリンクを多飲すると必要以上の糖分を摂取してしまう事になります。
スポーツドリンクは水分の補給を目的としてるため、糖代謝に必要なビタミンB1が入っておらず、多量に入ってくる糖の代謝が出来なくなってきて、ウェルニッケ脳症(*)になる事があるそうです。
*ウェルニッケ脳症とは脳の病気で、目が寄り目になる眼球運動障害や不安定歩行などの運動障害や記憶障害がでる。

水分の吸収だけを考えると、スポーツドリンクより水やお茶の方が吸収がよく、普段の水分補給は水が良いのですが、一気にたくさんの水を飲むと、あまりにも急速に水分が体内に入ってしまうため、体液が一気に薄まってしまい、結果として体液の浸透圧が急速に下がる事となり、「体液の浸透圧が低い」という異常事態に反応して、水分を尿として排出してしまうという現象が発生します。

これを「自発的脱水」と言い、このような場合では、いくら飲んでも水分補給は飲んだ量の半分しか回復しない事が知られています。
また、水の早飲み大会がありますが、早飲み多飲は水中毒を起こし死亡する事もあります。
ですので、一度に飲む量としては200cc程度を数度に分けて飲むのが良いでしょう。

多量に汗をかいた時には水だけよりスポーツドリンクを半分くらいに薄めて飲む方が良いでしょう。
スポーツドリンクをそのまま飲むよりは早く、水だけを飲むよりゆっくりと吸収されるため充分な量を吸収できます。

最近では経口補水液(DRS)が薬局薬店で市販されています。
これは体液より少し薄いため、スポーツドリンクを薄めて飲んだのと同じ結果になります。

脱水を起こさないためには、それほど汗をかいていない時でも15分から20分間隔で一口か二口の水や麦茶を飲んでおくと熱中症の予防になります。

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