靭帯・筋肉2

筋肉

関節は靭帯が構成していて、その関節は筋肉によって動かす事になる。筋肉は縮む事が仕事で能動的に伸びる事は無い。そのため収縮した筋肉の側に関節は可動する事になる。

ギックリ腰、寝違い、肉離れは名前が違うだけで筋肉に起きた現象としてはすべて同じであり、筋組織が急激にまたは徐々に引き延ばされ続けた状態である。 そのため、『ギックリ腰』ではくしゃみや咳、物を拾う様な動作など、筋肉に力が入っていない時に背中や腰の筋肉が引き延ばされ障害を受ける。

短距離走では膝を高く挙げ膝を伸ばす事から大殿筋からハムストリング筋まで引き延ばされ『ハムストリング筋の肉離れ』を起こす事がある。 トランポリンの様に足首でジャンプをする様な時には『腓腹筋やヒラメ筋(ふくらはぎの筋肉)の肉離れ』を起こしやすい。

就寝時、枕に頭を押し付けて頭を支点にして寝返りを打つと『胸鎖乳突筋に牽引がかかり寝違い』が起こりやすい。このように筋肉は瞬間的、または長時間かけて引き延ばされた時に障害される。

関節を安定させるために筋トレを勧められるが、筋肉が強くなるとなぜ関節が安定するのだろうか。 筋力が上がるという事は、上限が上がるという事ではないだろうか。 上腕二頭筋を鍛えるアームカールというトレーニングがあるが、仮に10kg×5回しか出来なかったのが、10kg×10回出来るになる事であり筋肉の収縮力が強くなる事であるのだが、どんなに筋力が上がっても力を入れていない時は勝手に筋肉は収縮しないはずである。

テレビで肩の関節が緩くなっている女性の話しがあった。肩関節を真横に挙げていく外転という動作をさせた時のレントゲン写真は、上腕骨頭が関節窩から下方にズレ込んでいる状態が写っていた。解説している医師は「スリッピング」と表現していた。

この女性の肩関節を治すために、インナーマッスルを鍛えると良いといって、肘を曲げた状態で前腕を内側と外側に動かす(肩関節の内・外旋)運動をさせた。 私の所では風呂につかった状態で同じ運動を勧めている。水の抵抗がちょうど良いようである。

10日ほどその運動を続けた後で再びレントゲンを撮影すると、下方に落ち込んでいた上腕骨頭が持ち上がって正常な位置になっていた。 その説明として「筋肉を鍛えて下方に下がっている腕を強くなった筋肉で引き挙げている。」と言っていた。

しかし、ぶら下がっている腕を勝手に随意筋であるはずの体幹筋が重力に逆らって引き上げるものだろうか。 体幹筋である以上、脳からの指令が無くては収縮する事は無いはずである。 だが、現実に関節は正常な位置に戻っていた。

これは筋力が強くなって腕を引き上げたのではなく、筋肉を使う事によって筋肉の長さがもとの長さに戻ったという事と考えられる。 レントゲン写真で明らかに腕が関節から下方にズレ込んでいるのが解るという事は、すでに靭帯が引き延ばされている状態だと言える。当然筋肉も靭帯が伸びた分だけ引き延ばされているはずであり、筋トレは引き延ばされた筋肉の長さを『元の長さ』に戻す事ではないだろうか。なにしろ体幹筋は脳からの命令が発せられなければ収縮する事は無いのだから。

また、靭帯が引き延ばされた肩関節はいくら筋肉を鍛えても、ボールを投げた時に腕も放り投げている状態で肩関節は引きはがされる様になります。バレーボールのアタッカーも腕を引っ張ると肩関節が外れる様に腕が伸びる事があり、ボールの投げ終わりやアタックの打ち終わりは肩に痛みが出ます。そのため、テーピングは肩関節を密着させる様に貼ると普段の生活で楽になります。

さらに、膝関節の痛みは大腿四頭筋を鍛えて不安定をなくす事が良いとされているが、ある整形外科の医師が書いた本なかに、「靭帯を痛めた膝関節は身体が膝関節を休ませるために内側広筋を萎縮させている。」とある。実際、自分自身も左膝関節を痛めた時に、外側広筋が萎縮して見た目にも左脚が細くなっていた。この本を読む前は、なぜ外側広筋が萎縮したのかが解らなかったのだが、身体自身がこの様な事をしていると知ると納得ができる。

これは膝関節に限った事ではなく、関節を痛めると筋萎縮も神経の問題で筋力の低下が起こる事がよく観察される。 以上の事は、筋力トレーニングが悪いとか必要がないという事ではなく、関節を安定させている理由が『筋力アップしたのではない』と言う事と考えている。そして。トレーニングによってついた筋肉量はトレーニングを続けていかなければ維持は出来ない。筋トレをさぼればついた筋肉はとたんに無くなっていき、元の筋肉量に戻る。このもとの筋肉量というのは普段の生活の中で必要な筋肉量ではないかと思う。自分の経験で言うと、追突された3年後、頸椎の調子が悪く右腕のしびれ、上腕三頭筋の萎縮があったが、頸椎の調子が戻りしびれが消えた時に、筋肉の萎縮はなくなり元の筋肉量に戻った。したがって、現在の筋肉量は現在の生活に必要な筋肉量ではないかと考えている。もちろん運動が悪いとか筋トレの必要がないというつもりはまったくない。

普段からよく歩いて身体を甘やかさない様に動く事は必要な事で、それを行っていけば無理に筋トレをする事は無いと考える。

 

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