腰痛の原因にはさまざまなものがありますが、大雑把に分類すると以下のものがあげられます。
- 骨組みや筋肉(筋骨格系といいます)にトラブルが生じて痛みを感じるもの
- 内臓や全身性の病気が腰痛を引き起こしているもの
- 精神的な問題が腰痛の引き金になっているもの
腰痛の原因によってはたかが腰痛と侮っていると取り返しのつかない事態になることもあります。
そこで、危険な腰痛を判断するポイントをあげてみます。
もちろん一番安全なのは、どんな腰痛でもとりあえず医師の診察を受けることです。
医師の診察を受けた方がいい徴候
腰痛のきっかけがはっきりしない。
逆に言えば、重いものを持った時に腰痛を発症したとか、前の日に重労働をしたなど、あきらかなきっかけが思い当たる場合は筋骨格系の腰痛ですから、内臓や全身性の病気が潜んでいる可能性は少ないでしょう。
徐々に腰痛が悪化してきている。
はっきりしたきっかけのない腰痛で、徐々に悪化している場合は要注意です。すぐに医師の診断を受けるべきでしょう。
特に月単位で経過を振り返ってみて症状が悪くなっている場合は躊躇することなく医師の診察を受けることをお勧めします。
腰や下肢を動かしても痛みがあまり変化しない。
筋骨格系の問題であれば痛む姿勢や動作があるものです。
姿勢や動作に関係なく痛むのは要注意です。
腰痛以外の症状がある。
内臓の病気などでは、腰背部痛以外に腹部や側腹部、季肋部(肋骨の前下方部分)などに痛みをだすことが一般的ですから要注意です。
発熱とともに腰痛が発症した。
風邪を含めて感染症などが腰痛を起こさせている可能性があります。
明かに通常の風邪であればそんなに心配する必要もないでしょうが、高熱であったり、強い痛みがでたり、しびれなどを伴う場合は医師の診察を受けることをお勧めします。
精神的なストレスを受けると腰痛になる。
精神科や心療内科、心理カウンセラーなどに相談されるのがお勧めです。
内臓の病気と腰痛の関係
内臓に病気がある場合にも腰痛を感じることがあります。
これには関連痛(原因となる部位と離れたところに感じる痛み)と、直接的に腰椎や腰の神経を障害する場合(炎症や腫瘍など)とがあります。
たとえば以下のような病気に伴って腰背部に痛みがでることがあります。実は「伴って」ということが重要で、腰痛以外の症状がたいていあるわけです。
ただ膵臓癌などでは腰痛だけが症状であることもあるそうですから、前述した徴候に引っかかる場合は医師の診察をお勧めします。
泌尿器系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)疾患
尿路結石、遊走腎、腎周囲膿症、腎盂炎など。
婦人科疾患
子宮筋腫、卵巣膿腫、月経前症候群、生理痛など
消化器系疾患
膵炎、膵臓癌など
悪性腫瘍(癌)の転移
胃癌・腎・前立腺などの腰椎、骨盤への転移は腰痛の原因となります。
全身性の疾患と腰痛
感染症、たとえばインフルエンザなどで腰痛が症状の一つとして加わることはめずらしいことではないでしょうし、膠原病(慢性関節リウマチなど)で腰の痛みを出すこともあるでしょう。