肘の痛み 〜肘の内側の痛み〜

知り合いのコンビニ店長。24歳と若い方なのだが、左肘に痛みがあり荷物の移動などで症状が強く出ている。彼の行動を見ていた方によると、荷物を持って腕を動かす度に顔をしかめていたそうだ。

レントゲンでは異常がなく「湿布してほっとけば治るよ」と言われそうだ。その後、私が触診した所、肘関節の過外転が診られた。もちろん、外転させた時は痛みも出て、皮膚を軽く触れると「ヒリヒリ感」もある。

あえて診断という言葉を使うが、「肘関節内側側副靭帯捻挫」となるだろうか。この様な診断名があるのか解らないが。
要するに肘関節の内側側副靭帯(ないそくそくふくじんたい)という靭帯に負荷がかかり靭帯が引き伸されている状態である。この靭帯は肘を伸ばしている状態で、肘関節が外側に曲がらないようにするための靭帯である。反対の内側に曲がらない様にしている靭帯は「外側側副靭帯(がいそくそくふくじんたい)と言う。

何度か書いた事だが、靭帯は一度伸びると元に戻る事は無い。関節を構成している靭帯は繊維性靭帯という物で、名前の通り繊維である。普通の布地を引っ張っても弾力を感じる様な伸び方はしない。そして、繊維は引っぱり応力に非常に強い性質がある。ただし、強い力や長時間引き伸すと繊維が伸びてしまう。
そのため長く履いたズボンの膝が出てしまうと元に戻らないのと同じ事で、一度伸びてしまった靭帯も元に戻る事は無く、 そのため靭帯が伸びてしまうと関節は不安定になり、位置が悪くなり稼働時に痛みが出る事になる。

と、書いたのだが、若い方はきちんと調整してテーピング、アイシングを行うと靭帯が元の状態近くに戻るようである。もちろん靭帯が伸びた程度にもよるのだろうが。 先日、その店長と会う機会があり、症状を聞くと「もう痛みは無いし、テーピングもしていない」との事。触診をすると外転検査でしっかりした手応えがある。

少し苦言を言わせて頂きたい。整形外科医はレントゲンで異常がないというが、患者さんは痛みを訴えているのだからきちんと検査して欲しいものだ。何しろ私が行った検査は外転ストレステストという「整形外科テスト法」である。 本来なら整形外科医が行うベきテストでレントゲン等の検査と併せて診断するのが正当な治療に繋がると思う。異常がないと診断して湿布しておっとけば良いというのはいささか不快である。

 

以前にも21、2歳の方の中手骨の不安定をテーピングをした事があるが、やはり一月くらいで安定した事があった。 この様にテーピング、アイシングだけでも自然回復して行く事がある。先ほど書いた様に受傷の程度や年齢にもよるだろうがほっておいていいとは思わない。 皮膚の弱い方はテーピングが出来ないのだが、なるべく動かさずにしっかりアイシングする事は重要な治療となる。

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