頭痛の原因にはさまざまなものがありますが、大雑把に分類すると以下のようになります。
- 脳腫瘍
- クモ膜下出血
- 脳出血
- 片頭痛
- 緊張性頭痛
- 群発頭痛
しかし、今までに経験したことがないような頭痛や、今までで最悪の頭痛の場合、取り返しのつかない事態になることもあります。
以下に、危険な頭痛を判断するポイントをあげてみます。
もちろん一番安全なのは、どんな頭痛でもとりあえず医師の診察を受けることが大事です。
医師の診察を受けるべき徴候
脳腫瘍
頭痛、嘔吐、麻痺が伴う。
徐々に症状が進み、話し方がおかしくなってきた、歩いていて曲がって行くのを自覚しているが進路を変えられずぶつかるまで歩いたり、無気力、記憶・知能の障害などの人格変化や、視野の狭窄(見える範囲が狭くなる)が出たりした場合、脳腫瘍の可能性が考えられます。
クモ膜下出血
脳は三枚の膜で覆われていて一番外側が硬膜と言い、次にクモ膜があり、脳自体にぴったり張り付いている軟膜があります。そのクモ膜と軟膜の間(クモ膜下腔)に出血が起こったものをクモ膜下出血と言います。
いきなりバットで殴られた様な痛み、と表現されます。
約1/3は出血と同時に死亡してしまう、あるいは何とか病院には運ぶことができたものの重症過ぎて死亡してしまうか寝たきりの状態になってしまうといわれます。
発作の1~3週間前に激しい頭痛があり、めまい、物が二重に見える。片側の瞳孔が拡大している、という事が言われますが、なんの兆候が無い場合もあり、多くは脳動脈瘤の破裂(約80%)によるものとされます。
脳出血
事故等の外傷性と非外傷性があり、非外傷性では動脈硬化に伴って動脈瘤ができ、それが破裂して脳内に出血が起こります。
出血で脳が圧迫されることによって頭痛やめまい、まひがあり出血の部位や程度によって言語や運動能力に障害がでることが多く、重度の場合は脳が機能を失って昏睡や死亡につながることもあります。
脳梗塞
脳の血管が血栓や塞栓(脂肪塞栓や空気塞栓など)で閉塞されたことであり、頭痛というより麻痺やしびれ感が出る。
自覚では「気持ちが悪い」という感覚があるが、吐き気があったり食欲がないという感じではない。
経験した方の話で、他の語彙があれば「気持ちが悪い」という感じとは違い、他に言葉が無いから「気持ち悪い」という。
動作では微妙な動きや力加減の調整が出来なくなる。
車の運転中、ハンドルの操作が遅れる、ブレーキがうまく踏めず急ブレーキになり、アクセルを踏む時も急発進になる。また、事故を起こした事が解らず、その場から走り去る事もある。
もし今まで経験した事の無い気持ちの悪さを感じた場合や以下の症状があれば即座に専門医の受診が重要である。
片側の麻痺
通常は身体の片側の脱力、動かしづらさ、重い感じなど。
片方の上肢・下肢・顔面が脱力または筋力低下がある。
しびれ感
通常、身体一側の感覚鈍麻、異常感覚。感覚線維、または頭頂葉の感覚中枢が障害される。
感覚の鈍化または消失が起こるほか、慢性期には疼痛が出現することがある。
言語障害
問いかけに対し頭の中では答えているがそれが言葉に出なかったり、ろれつが回らない(構音障害)。
喉頭・咽頭・舌の運動にも麻痺や感覚障害が及ぶことで嚥下や発声機能にも障害が出現する。
嚥下障害は、誤嚥によって肺炎の原因となる場合もある。
片側の失明
痛みのない一眼の視力消失、「カーテンがさがる」と表現される。
失調
バランスが悪い、歩行でつまづく、よろめく、片側の協調運動障害。
小脳または脳幹の梗塞で起こる。それに関連してめまいが出る事もある。
他、意識障害や高次機能障害(周囲の状況に無関心になったり感情のコントロールがうまくいかない等)など。
脳自体に異常がない
偏頭痛
拍動性の痛みがあり脈拍に合わせてズキンズキンと頭の片側(両側の場合もある)が痛み、痛みのピークに吐き気がすることもあります。
前兆がある場合もあり、閃輝暗転(星がチカチカ)、視野が欠ける、生あくび、肩こり、首すじのはりがあったり身体を動かすと痛みが強くなると言われます。
血管の拡張により周囲の神経が引っ張られて痛みが起きます。
筋緊張性頭痛
首や肩のコリ、緊張と頭をギューッと締め付けられるような痛み、圧迫感、重い感じがいつからともなくはじまり後頭部を中心に両側が痛くダラダラ続き首や肩のコリや目の痛みを伴います。
筋肉が緊張することから痛みが起き、骨格の歪みによる姿勢の悪さ、目の疲れ、歯の噛み合わせ、ストレスや精神的な緊張が原因と言われます。
群発頭痛
慢性頭痛で最大級の強烈な痛み。目の奥がえぐられるよう、じっとしていられない。
決まった片側が痛み特に目の奥が痛いと表現される事が多くあり、持続時間は1~2時間、ある期間毎日のように決まった時間に起こり、直前に目のかすみ、首のはりなどの前触れがあり目の充血、涙目、鼻水などの自律神経症状を伴ないます。
その他の慢性頭痛
頭部神経痛
頭部や顔面の末梢神経が痛みビリビリ、チクチクとした痛みがあります。
低髄液圧性頭痛
髄液圧低下のために起こる頭痛。
低血圧の人や交通事故の後遺症で低髄液症の発症がありますので専門医の治療が必要となります。
労作性頭痛
ある特定の動作によって頭痛が起きます。
カイロプラクティックでの施療
脳自体に異常がない場合、カイロプラクティックの施療が非常に有効と言えます。
多くは上部頸椎の動きが悪くなり、筋肉の緊張や神経の牽引が起こっていると考えられ、当該関節の調整により筋肉や神経に対する障害を取り除く事で頭痛が緩和されます。
しかし、頸椎の可動性が悪くなっている場合、頸椎が単独で悪くなっている事は少なく、たとえ症状が無くても骨盤や腰椎および胸椎の動きに制限が出ています。
上部頸椎が障害されますと、頭痛の他、目の疲れ、めまい、耳鳴り、肩こりも発生する事があります。
近頃良く思うのですが、パソコン仕事をしている方は頸椎の動きが悪くなっている方が多く、特に第一頸椎が後方と側方に変位し、第二頸椎と弟三頸椎で伸展(頭を後ろに倒す動作)と、側屈(頭を横に倒す)がしづらくなっています。
ジィッとモニターを見ていて首をあまり動かさずにいるのが原因で、やはり、時折頸椎の運動が大事になります。
その方法ですが、特に痛みが強く出ていなかったりめまいが強くなければ、頭を後ろに倒し、左右交互に向いたり横に倒します。
次いで、頭を前に倒し同じ様に左右交互に向いたあと横にも倒します。
痛みがある場合、動かして痛みが無いところまでにして下さい。
よく筋緊張型は暖めると良いといいますが、後頭部から頚の付け根をアイシングする事をお勧めします。その際は暖かい部屋で体温が下がらない様にして下さい。
整形外科や柔道整復では頸椎のゆがみがあると牽引を行うところが多くありますが、決して牽引しないで下さい。
いくら首を引っ張っても頭が引っ張られた状態が続くはずは無く、牽引する事で症状の悪化が起こります。
また、歯科治療により頭痛の発症が起こる事もありますので、歯科治療後に頭痛が出た時は我慢せず治療した歯科医で再治療を行って下さい。