歩行時に平らな場所でつまづく事があるのは、つま先を持ち上げるための『前脛骨筋』や『長母趾伸筋』という筋力が加齢によって低下していると言われ、筋力トレーニングを勧めているようだが、実際には筋力が低下しているのではなく『筋力を発揮できない状態』と考えている。
骨盤や股関節、膝関節の変位で筋力の低下が起こる事が多くある。特に骨盤の変位の中で仙腸関節の前方変位では長母趾伸筋の筋力低下が顕著に現れる。これは関節の変位により神経系の伝達が悪くなり、筋肉の萎縮が無いのにも係らず筋力が低下したものと思われる。そのため、つま先を挙げているつもりでいても実際にはつま先が持ち上がっておらず、床面や地面につま先が引っかかる事になる。このような方の靴を見るとつま先を引きずった様な減り方をしている。
骨盤の変位は転倒やスポーツ障害による事もあるのだが、多くは普段の歩行不足であり、骨盤や股関節、膝関節の変位を調整した後で筋力検査を行うと筋力アップが起こる事を経験している。 関節に変位がある場合、筋力トレをしても効果が無い事もあり、場合によっては筋トレを行う事で関節の障害を悪化させる事もある。やはり、関節の検査をきちんと行い、変位を調整して普段からよく歩く事が大事である。
また、体操等の運動をしているから歩くのは嫌だという方もいるのだが、もちろん運動は必要であるが、どちらかというと運動が大事なのではなく歩く事の方がより大事である。