牽引療法

坐骨神経痛や首の痛みやしびれがあると、現在でも牽引を行う事が多くありますが、実は牽引すると症状の悪化が起きる時があります。病院でレントゲンやMRIでヘルニアと診断された場合、痛み止め、ビタミン剤の服用で様子を見て、変化が無いと、服用しながら通院で牽引をし、さらに症状が続くと入院して、安静と牽引をして症状が消えないと手術を行う事になります。手術も背中にメスを入れて飛び出したヘルニアを切り取る方法や、ペインクリニックでは神経根ブロックや硬膜外ブロックと言われる麻酔をする方法、レーザーでヘルニアを除去する方法などがあります。

牽引そのものは病院でも医師が行うのではなく指示により理学療法士が行ってます。カイロプラクティックでも被験者を仰向けにしてタオルを後頭部にかけてゆっくり(整体などでは急激に引っ張る事がある)引いて行く方法があります。 脊柱を牽引というのは背骨を引っ張る事で飛び出したヘルニアが神経を圧迫しているのを解放しようと言う事なのですが、いくら牽引しても背骨の間が広がる事などありえません。

考えてみると引っ張った後は『立って歩いて帰る』のですから5〜6kgあると言われる頭の重さが脊柱にかかってるのですから、仮に背骨の間が開いたと言っても家に着く前に開いた隙間は元に戻るでしょう。だいたい脊柱は椎体と椎体の間を広げられるような構造になっていませんから牽引をしても無駄と思います。 実際に、大学病院病院の医師でもヘルニアに牽引は無力と言ってます。 神経は圧迫より牽引されるといたみを感じます。さらに引っ張ると感覚が低下して痛みを感じにくくなるだけです。

カイロの学校でも関節は適度な隙間が必要と教わり、テクニックでも関節を引っ張る様なことが多くあります。しかし関節は密着する事が非常に大事で、密着する事により動きが滑らかになります。そして、筋肉が働く時には関節は必ず密着するのです。よくお年寄りが「油が切れたようだ」と言ってますが、まさしくその通りで荷重がかからなくなったり関節の変位で密着が悪くなると『油が切れた』状態になり関節の動きが悪くなったり痛みの発生が起こります。

人は立って生活してますから、頭から脚に向かって重力を受けてます。腕の関節以外はすべて密着方向に力がかかっています。それが正常なのですから牽引をして関節に隙間を作る事はナンセンスと言わざるを得ません。 牽引療法で症状の悪化があった時はすぐに牽引を止める事をお勧めします。

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