O脚矯正? 〜O脚矯正の危険性〜

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O脚の話しを20年ほど前にある研究会で発表した事がある。O脚には「機質的O脚」と「機能的O脚」の二種類があると考えている。

機質的というのは、遺伝的な骨格や事故、加齢による変形。機能的と言うのは関節に何かの障害が起きて正常な可動域が確保されていない。と言う事と思っている。

したがって、機質的O脚では程度によるが矯正の効果はあまり期待できないと思う。 機能的な場合は、全身的な調整である程度のO脚は軽くなっていくだろう。「全身的な調整」と言うのは膝の調整だけではなく、膝関節の可動制限を起こしていると考えられる、骨盤、股関節や足関節などを調整していく事である。

O脚の方の骨盤を検査すると多くの方に仙腸関節の前方変位があり、前方変位があると股関節の内旋変位(つま先が内側に向く)しやすく、膝関節の屈曲(曲がっている事)があり、足首は内反変位して、脚の外側に体重がかかって歩いている事が多い。また、O脚の方はあぐらをかきづらく、正座の方が楽と言うのが特徴である。

一般的にO脚矯正をしているところでは、足首を押さえて膝関節を内側に押す様な事をしている事が多く、また、空気が入るシート状物を膝に巻き、高圧の空気を入れる事で膝関節を内側に押し付ける様な事をしているのだが、これは非常に危険な事である。 膝関節の内側には「内側側副靭帯」という靭帯が付いていて、大腿骨に対して脛骨が外側に動かない様になっている。スキー等でこの靭帯を損傷した方では、脛骨が外側に動き膝関節の不安定と痛みを訴えている。

他のブログのページにも書いた事だが、靭帯は一度伸びてしまうと程度にもよるが元に戻る事は無い。そのため膝関節を内側に押し付けると言う方法は膝関節を壊す危険はあってもO脚が矯正される事はなく、外力により強制的に捻挫を作っている事で、絶対にやってはいけない事である。くれぐれも注意を願いたい。

O脚の調整は前述した様に膝関節だけではなく、骨盤、股関節も一緒に可動性の調整を行い、日頃の歩行が非常に大切になる。いずれにしても骨の形を少しづつ変えていく必要があるため、調整を繰り返し、他人任せではなく普段からしっかり歩行を行い、調整後や歩行後にアイシングが大切である。

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