試合の前などにストレッチを行ってる方が多いと思うのだが、最近では運動前のストレッチはよくないと言われている。
通常ストレッチというのは、縮んでいる筋肉を伸ばして、筋肉を痛めない様に行っているのだが、筋肉は縮む事、すなわち収縮する事が仕事であって、自分の意志で筋肉が伸びる事は無い。 しっかりストレッチした筋肉は緊張が無い状態であるから、いざ、動こうとしてもすぐに動く事は出来ない。
考えてみると、筋肉の緊張をなくすという事は、マッサージをして筋肉を緩める事と同じ事であるから、すぐに動こうとしても動けないのが当たり前であり運動のパフォーマンスが落ちるのも理解できる。
ただし、試合や、練習を行う時に、何もしないで体を動かすと、動く事に準備ができていない筋肉を痛める事にも繋がるだろう。したがって運動を行う前には充分時間を取って、ストレッチを行い、その後は、しっかり早歩きをするか軽いランニングを行って筋肉を収縮させる事が大事になる。そして、ストレッチは練習や試合後に行う方が効果的となる。
先だってより施療に来ているクライアントさんを本日施療した。この方は、子供の頃に右肩関節の脱臼を経験しており、そのために肩関節がゆるくなっていたと思われる。
肩関節を検査すると前回は非常にゆるかった肩関節がずいぶんしっかりしていた。 話しを聞くと、起床時に布団から出ずに50回ほど肩関節調整器を使って調整を行い、昼間の時間が空いた時になんどか調整しているようだ。
靭帯は一度伸びると元に戻る事は無いのだが、関節を密着させる様な調整を繰り返すと、完全ではないにしろある程度は復元する様に感じられる。 アイシングはしていないという事だったので、アイシングも行う様に勧めておいた。
少し前に自作の肩関節調整器具の写真を載せたが、使用法の写真を撮ったので参考までに書いてみる。
仰向けになり、器具を両手に持ち天井に向けて腕を伸ばす。
どちらが先でも構わないので、左右にハンドルを回す様にする。
このペットボトルは2L容器で、一杯まで水を入れてあるが、重いようであれば水の量を加減すればよい。 水の重さで肩関節を密着させながらハンドル運動で可動域を正常にする事が目的になる。10〜20回程度でよいので、毎日行って行くと可動性が増し、痛みも軽減される。
立位または座位で、腕を前に伸ばしハンガーを持ってハンドル運動を行ってもよいのだが、腕を前に伸ばしているのですぐに疲れてしまいあまり効果がない。 仰向けで2kg程度の重量でも肩関節密着させるには問題が無いし、しかも天井に向けているのでうまくバランスを取れば疲労も少ない。 以前の肩関節自己調整法と併せて行ってみて頂きたい。
膝の痛みのなかで「オスグットシュラッテル病」という病気がある。成長期にスポーツをしているお子さんたちに起こる事のある病気である。
病気と言っても細菌やウイルス感染ではなく多くはスポーツ障害であり、大腿四頭筋が脛骨粗面から剥がれる病気になる。ジャンプをする、ボールを蹴る、ラグビーの様に脚を踏ん張って膝を伸ばすという様なスポーツで多く見られる。
大腿四頭筋というのは膝を伸ばす筋肉であり、骨盤と大腿骨から起こり膝のすぐ下にある脛の出っ張っている部分「脛骨粗面」に付着する。成長期の子供たちはまだ筋肉が骨にしっかり付いていないため、強い筋肉運動を行うと骨から筋肉が剥がれやすい状態である。 走り込んだりすると脛骨粗面に痛みが出たり、膝関節に水が溜まる。
基本的には運動の中止が望ましいが、レギュラーからはずされないように、痛みを我慢して練習をする事がある。もちろん、筋肉が完全に骨から剥がれる事は無いのだが、剥がれかけた部分は元に戻る事は無く、大人になっても脛骨粗面をぶつけると強い痛みがある。 ある程度の年齢に達するまで強い運動を避けたいのだが、何もしないと筋肉量が減少するので、膝の屈伸をあまりしない様な運動で大腿四頭筋の筋肉維持が必要になる。
筋トレの方法
1. 仰向けになり意識してお腹を引っ込める→腹横筋のトレーニング 3分×5セットくらい
2. 片脚づつ膝を伸ばしたままで脚の上下運動→大腿四頭筋のトレーニング 片側15回づつ
3. 立ち上がり膝を伸ばしたままつま先で軽くジャンプをする 20回から30回程度
4. 早歩きを行う 30分から40分程度を連続して歩く
そして、トレーニング後はアイシングを行う。
以前は大腿四頭筋を鍛えるのはうさぎ跳びをしていたが膝に障害起きやすいので、現在では行わないよう聞いているが、実際にはまだ行われているようだ。
運動部に所属していて、膝の痛みを訴えているお子さんをお持ちの親御さんは、どんな練習をしているのか聞いてみる事が必要と思う。
本日いらしたクライアントさん。先月、右肩の痛みを訴えていた。やはり、痛みは続いていて、「腕がだるい」と言っていた。病院にも行ったようだが、首からだろうという事でレントゲンを撮り、リハビリでおもりを持って腕を振る、いわゆるアイロン体操と呼ばれる事をしたというのだが、やはりあまりよい感じが得られなかったのだろう。一度で止めたと言っていた。
この方の右肩は、『ゆるみ』のタイプなので、肩から腕を引き伸す様な治療は行ってはならないのだ。ゆるみのタイプでは、前に腕を伸ばし肘を曲げ多状態で、肘を体の内側に動かすと、肘が顔の中心まで行かない事が多く、痛みもある。 ストレッチなどでは、この状態で反対側の手で肘を引っ張る様にするのだが、これも行わない方がよい。ゆるみの肩関節はすでに筋肉(棘下筋)が引き伸されているのである。したがって、ストレッチを行うと余計に筋肉を痛める事になる。
自己調整の方法
1.上記の状態でストレッチではなく反対の手で肘を押さえて、軽い力で肘を後ろに3〜5秒くらい引く様にして、瞬間脱力をする。これを3〜5回くらい行う。
2.風呂で湯につかっている時に、腕を体の横に付けて、肘を前に曲げて前腕を前にする。手を開き手のひらを内側に向けて、手首ではなく腕全体内側と外側に大きく動かす。水の抵抗で肩の内旋筋と外旋筋を鍛える(鍛えると言っても筋肉を強くするのが目的ではない)
3.写真にある様な器具を使う方法もある。言葉で書くと解りづらいのだが、仰向けになって、ハンガーの斜めの部分を握って天井側に腕を伸ばす。車のハンドルを回す様にハンガーを左右に回す。肩の痛みが出た時には痛みが出る寸前で回すのを止める。これを左右に20〜30回くらい行う。
この器具は自分の肩関節調整用に作ったものだが、ハンガーに2Lのペットボトルをひもでくくり付けただけのものであるが、2kgくらいの重さで肩関節を密着させハンドル回し運動で関節の可動域を広げ、変位を調整する事が出来そうである。ハンガーの斜めの部分がちょうどいい角度に思える。
本日のクライアントさんに使用したところ調整前と調整後は可動域がずいぶん広がっていた。自分で簡単に作れるので肩の痛みがある方はお試し戴きたい。 調整後は15〜20分くらいのアイシングが効果的。
10分ほど右手に荷物を持って歩くと、肘の前の部分が痛くて曲げられずゆっくり数回曲げ伸ばしをすると、普通に動かせる様になる。というクライアントさんがいらした。
初回行う検査で、下部頸椎が右に倒しづらく、右の肩関節にゆるみがあり、肘関節にも少し異常を感じた。 以前に経験した事があるのだが、両肘を伸ばして手首を親指側に曲げると、案の定、右側がやりにくく肘付近に突っ張り間が出た。
前にもブログに書いたのだが、『肘内障』と言われる状態に近く、撓骨が上腕骨小頭(腕撓関節)から離開しているのが確認できた。
骨盤と頸椎を調整して、右肩関節と肘関節を調整すると肘の曲げ伸ばしが楽になった。肘の痛みでは側副靭帯が障害され横方向の動きがあったり、腕撓関節の離開が原因している事が多く観察される。
お子さんの腕を引っ張って肘が抜けた。というのはこの腕撓関節の事であり、撓骨が撓骨輪状靭帯から逸脱した状態のことであり、医師によっては母親に整復を教える事もあると聞いた。
ただし、自分で整復する事は難しいので肘に痛みがあれば相談戴きたい。 そして、この様な場合では、普段から荷物を持つ時に軽く肘を曲げて持つと肩関節のゆるみも解消できるし肘関節を痛める事も少ない。 参考までに。
関節がゆるくなると神経の伝達が悪くなり、筋力の低下が起こる事は先日アップしたが、 もう一つ関節のゆるみが悪さをする事がある。
関節がゆるくなると緩んだ関節よりさ先にむくみが生じる事がある。もちろんすべてのむくみが関節のゆるみというわけではない。
腕のむくみでは肩関節のゆるみがあると、他方の腕よりゆるみがある方の腕があきらかに太くなっている事がある。乳がんで左乳房全摘した母は、ちょっと力仕事をすると左腕がむくむ事がある。肩関節、肘関節、手首を密着させる様に調整すると、10分ほどでむくみが消えてくる。
もし片側の手足にむくみがあるようなら手足の関節を調整する事も必要と思われる。これは腎臓や心臓に病気が無く、静脈瘤が無い場合に効果があると考えられる。 尿の出が悪いという様な事であればすぐに病院で検査をする事をお勧めする。
気になる事がある。赤ちゃんを抱っこしているお母さん。赤ちゃんの首を見てますか?
近頃の抱っこひもは赤ちゃんの頭をすっぽり包み込む様に肩ひもに生地を取り付けられる様になっているが、この生地の部分を使わない時に頭の当たる部分が赤ちゃんの首の部分に当たっていて、眠っている赤ちゃんの首が完全に後ろに倒れているのを見た。
お母さんは上のお子さんの手を引きながら小走りをしていたのだが、赤ちゃんの首は抱っこ首に当たる部分でテコの様に首が支点になって揺れている。
これは非常に怖い状態で、衝撃で頸椎を痛め、頭はガクガクと揺れて揺さぶり症候群と同じ様になっている。赤ちゃんの骨はまだほとんどが軟骨であるため、絶えずこの様な状態の置かれると壊れてしまう。充分注意して頂きたいものである。
首が痛くなると頭を後ろに倒しづらくなる。と相談された。
頸椎の関節は第一頸椎と第二頸椎の間を除くと、屋根瓦のように重なっている。これは胸椎も同じ構造であるが胸椎は肋骨がついてるため頸椎の様に大きな動きは出来ない。
頭を後ろに倒すというのは、椎体が後ろに倒れるという事(伸展と言う)、その時、椎体の関節(椎間関節と言う)の動きは上にある椎体が下の椎体に対して滑り落ちる事になる。言葉で書くと非常に解りにくいのだが、施療時には骨格模型で説明している。
この関節の動きが悪くなるというのは、関節の潤滑が悪くなるという事で、潤滑が損なわれるとすべりが悪くなるので、関節は無理に動く事になり、痛みを感じる様になる。 いわゆるストレートネックの方は首を後ろに倒す事がやりづらい場合が多い。
骨盤のゆがみから体が傾く事が多く、頸椎は脳を水平にしようとしてゆがみを立て直すため頸椎自身が傾いてしまう。また仕事の姿勢などで同じ方向に傾いていると傾いている部分の潤滑が損なわれる事になり関節の動きが制限される事で首を動かした時に痛みを感じる事になる。
首が後ろに倒しづらくなると、カンの飲み物が最後まで飲めない事がある。痛みが無くてもこの様な事があるなら頸椎、骨盤等の調整が必要で自宅ではアイシングを行うと痛みの軽減になる。
年に数度来院している60代半ばの女性。今回は腰痛の他、右肩関節の痛みで来院。痛めたときの話しを聞くと、左肩に蚊が止まったので右手で蚊を叩いたところ右肩関節に強い痛みが出た。肩関節に痛みがある方でゆるみで痛みがある方では、肩関節の内旋および内転に制限があり、強く内転させると肩関節が離開する事になり痛みが生じる。
検査をしたところ、右肩関節にかなりのゆるみがあった。詳しく聞くと子供の頃に数度、右肩関節が外れた事があり整骨院で整復した事があるそうだ。完全脱臼なのか解らないが、それにより肩関節の靭帯がゆるくなっていたものと推測される。
普段痛みが無く動きにも異常がない場合、関節を痛めている事に気がつかず、無理をする事がある。肌が弱い方なのでテーピングを使わず、調整と自宅での自己調整法を話して施療を終えた。 遠方のため次回の施療日は決められないが、自己調整法をまめに行ってもらえれば普段の生活には不自由は感じない程度になるだろう。
今回の自己調整法と普段の生活での注意を書いておく。
1) 痛めている側の肘を90°曲げて体側に軽く付け、うちわを持ち手首を使わず腕船体で風を送る様に腕を振る。 うちわの抵抗で肩関節の内、外旋筋に力を加える事になる。これは決して筋力トレーニングではなく、内、外旋筋の長さを正常にする効果がある。
2) 1)と同じ効果がある方法で、湯船につかった状態で、軽く指を閉じ水の抵抗で筋肉に力を加えてもよい。 ※うちわでは50回、風呂では20〜30回程度でよいと考える。
3) 場所があれば四つん這いで歩く事も効果的である。これは、肩関節を密着させる効果がある。肩関節だけではなく関節は密着する事で動きがよくなる。 最後にアイシングをこまめに行うと痛みが消えるのが早くなる。
また、痛めた側の手に荷物を持つ時には、軽く肘を曲げ持つ方よいだろう。肘を曲げる事によって肩関節がゆるむのを防ぐ事が出来る。以上
を参考にされたい。