雪の日に足を滑らせたり、階段を踏み外した。または作業中に梯子から落ちた。など、お尻を強く打ち受ける事があると、骨盤に衝撃がかかり寛骨の後方回転が加わり仙腸関節の動きが止まってしまう事がある。
寛骨は仙骨を左右から挟んでいて歩行時に交互に回転する様に動く構造になっている。前述した様に寛骨が後方に強く回転する様な力が加わると仙腸関節の中で仙骨と寛骨が食い込む様に噛み合って動く事が出来なくなる。
数年前に庭仕事の最中に脚立から転落をして右寛骨の後方変位を起こした方がみえたが、一度は仙腸関節の動きは回復していたが、腰痛がある言う事で検査をすると、やはり右仙腸関節の動きが無くなっていた。現在月一回くらいで調整している方なのだが、今回は買い物等でかなり歩いたと言っていた。特に尻もちを突いていないが、お孫さんをだっこしたり荷物を持ったりしていたのが原因と思われる。
転落をした時にお尻強くぶつける事で寛骨が後方変位を起こすと、関節内に傷が出来てその傷が治らないとその傷が引っかかって動きを止めるのではないかと考えている。そのため、しっかり調整をして荷物等を持たず、歩きやすい靴を履いてしっかり歩く事で、仙腸関節を正常にする必要がある。 そして、この様な時には調整後にアイシングするとよい効果があり、調整後の違和感も軽くなる。なにより時間をおかず受傷後早いうちに調整する事が大事になる。
腰痛や、頚部痛などで施療に来ている方が、趣味でバレーボールをしている。先だっての施療で右薬指を突き指したと話していた。 検査すると基節骨と中節骨の関節が横に動いてしまう。関節の横に付いている側副靭帯が損傷したのだろう。
昔は突き指をすると引っ張っていたものだが、これは間違っていて決して引っ張ってはいけない。 突き指をしたら、アイシングと固定をする事が大事になる。指の関節に厚紙でよいので適度な幅に切って、関節を挟む様に綿テープなどで固定するだけでも効果がある。指の曲げ伸ばしが不自由になるが、アイシングと固定をする事で回復はかなり早くなり予後もよい。
指の骨折は、骨折と気づかない事もあり、受傷からかなり時間が経って、痛みが引かずにいたため受診した時には、すでに治りかけていたという事例もあるので、腫れがひどく痛みが強い時には骨折が疑われるので病院の受診をお勧めする。
膝痛の方を触診すると、膝の裏にふくらみを感じる事がある。これをベーカー膿包または膿腫というのだが、原因ははっきりしておらず、リウマチとか変形性膝関節症、膝関節の使い過ぎと言われている。
五十代から七十代に多く観られると言うが、若い方でも相当数いると思われる。症状は膝関節の痛みや窮屈感があり、正座をすると窮屈感が顕著に現れる。以前施療していたクライアントさんは病院で検査を勧めたが、ベーカー膿腫に間違いはないが一旦様子を見ると言われたと、施療に戻って来た。その後引っ越されたため施療は終了となったが、自宅でのアイシングを続けてもらう様に指示した。
先日書いた様に寛骨の前方変位があると同側の股関節の内旋変位が起こり、同側の膝関節の屈曲変位が起きやすくなる。この状態は膝関節にとり非常に悪い形であって、大腿骨と脛骨の当たりが悪くなって炎症を引き起こす事になり、膝は冷やす事で炎症を抑えるために水を溜める事になる。 水が溜まり続けると膝化膿包にも水が流れ込んで、膝の裏に腫脹が起こる。
気がつかない方もいるのだが、うつ伏せで膝を深く曲げた時の膝の曲がりにくさを指摘すると納得してもらえた事もあった。 リウマチ等の病理が無ければ、やはりアイシングが一番よい処方となる。10分か15分くらいを毎日2回から3回続けていくと10日から2週間くらいで落ち着いてくるのが普通であり、治まらなくてもアイシングは続けていく方がよい。もちろん、骨盤や股関節と膝関節の調整は重要である。
基節の変わり目で寒暖差が大きく、風邪を引いている方も多いですね。 発熱とは菌やウイルスに感染した時に体温を上げて免疫を強くしている状態ですから、解熱剤の服用はせっかく身体が自力で病気を治そうとしているのを邪魔しているという事になります。
解熱剤を飲むと一時的に体温が下がりますが、仮に39°にセットされた体温はまた39°になろうとして体温は上がります。そのため、解熱剤を飲むと治るのが長引くという事です。
ただし、脳にとって熱は大敵で、水銀の体温計の目盛りは42°なのはそれ以上体温が上がると脳細胞が死んでしまうため表示する必要がないのです。 タマゴを水に入れて熱していくと、透明だった白身がだんだん白く固まってきますね。それと同じでタンパク質である脳は固まってしまいます。ですので、発熱時は体温は維持しながら脳の温度を下げる必要があります。 水枕等でしっかり頭部の熱の上昇を防ぐ事が大切です。昔から言われて来た「頭寒足熱」は嘘ではなかったのですね。
よく滋養のあるものを食べてと言いますが、栄養を取る事もそれほど大事ではなく、水分を多く取ってゆっくり休むのが一番です。 もちろんすべての薬を否定しませんが、風邪と解っている時に解熱剤の服用はしない方がよいと考えています。せっかく身体がきちんと反応しているのですから。
※加齢により体内のパイロジェンという発熱物質が少なくなると、発熱が阻害される事があり、お年寄りが発熱しない「無熱性肺炎」という状態になり気づくのが遅れる事もあります。
世界卓球の試合後の様子を見ていたが、卓球の選手も試合後は肩関節や手関節のアイシングを行っているのが映っていた。アイスバッグも使用していたが、ビニール袋に氷と水が入っていて、それを肩関節に置いたのだが、それをラップで固定しはじめた。
プロ野球ではアイスバッグをテーピングテープでがっちり固定しているが、テープ自身が結構値が張るため、自宅アイシングをする時にはお勧めできなかったのだが、ラップなら安いし、肌に直接巻いてもかぶれる事もないだろうし、粘着材が皮膚や来ているものに付く心配も無い。最も肩関節に使うには一人では無理なのだが。
膝のアイシングではアイスバッグがずり落ちて冷やしにくいのだが、ラップで固定するのならずいぶんと楽に固定できそうである。両手が使えるなら一人で出来るしテープで固定するより便利に感じた。アイシングの際には使ってみてはいかがだろうか。
※アイシングの方法
アイスバッグ(ビニール袋で代用できる)に氷と水(9:1の割合)を入れ、患部に20〜30分あてる。2〜3時間置きに一日3回程度すると回復が早くなる。
引っ越しではやりギックリ腰や頚部痛が多く有ります。この様な事にならない様に注意する事を書いてみます。
1.物を持つ挙げる時には膝を曲げる。どんな軽いものでも油断せず膝を曲げて腰や腕の力だけで持ち上げない事。
2.高い所のものを取る時や乗せる時には、しっかりした台に乗り不安定な姿勢にならない様にする事。
3.上を向く時にはゆっくりと。頸椎の動きの悪い方で蛍光灯を取り替えようとして首を痛めたという事も有ります。
4.出来ると思っても重量物は一人で運ばない。または、本などは小分けにして運ぶ。
5.時節柄、花粉症などでくしゃみが出そうな時はどこかにつかまり小さくしゃみをする事。
他にもあるでしょうが、筋肉は引き延ばされる事で障害されます。くしゃみや咳で筋肉は引き伸されてしまいます。床の物を持とうとした瞬間が一番危険です。ですから膝を曲げて腰の筋肉だけを引き伸さないようにする事が大事です。 もし腰痛が出た時は、まず休息を取る。一番痛い所をアイシングする。これを行って下さい。呉々もご注意を。
慢性的な腰痛やギックリ腰をした時は椅子の立ち座りが辛い事がある。文章にすると少し解りにくいと思うが、自分がギックリ腰をした時に楽に立ち座りが出来た方法を書いてみる。
座り方
まず、椅子にまたがる様に立ち、大腿の付け根(股関節部分)に手のひらの手首に近い所を付ける。 背中を丸くしない様にしながらゆっくり腰を下ろしていく。その時に手のひらで大腿を押し付ける様に力を入れて上半身を支えると姿勢が安定してゆっくり座っていける。
立ち方
椅子に座った姿勢は座面より足裏が前にあるため、立ち上がる時は背中を丸くして体重を前に移動させなければならない。ギックリ腰では背中や腰を丸くする姿勢で痛みが増悪するので立ち上がる事が困難になる。 立ち上がる時は踵を浮かせてつま先をお尻の真下くらいに移動させ、手のひらは座る時と同じ場所に起き、背中を真っ直ぐにしたまま手のひらで大腿を押し付ける様にしながらつま先で立ち上がる。
このようにすればデスクワークの多い方でも立ち座りが楽に行えると思う。 特にギックリ腰の場合では椅子の背もたれにクッション等を置き背中が丸くならない様にするのも大事である。
頸椎のゆがみがあると噛み合わせが悪くなる事がある。また、噛み合わせが悪いために頸椎にゆがみが起きる事もある。どちらが先かというのは判定がしづらいのだが、歯科治療の後に頸椎の不調とか頭痛が出た場合は、歯科治療により噛み合わせが悪くなったのだと思われるし、仕事やスポーツ障害および事故などで姿勢に影響が出て、噛み合わせが悪くなる事も多い。
歯科治療で噛み合わせを調整してもらう時には、必ず椅子を起こしてもらってから噛み合わせを調整するといい調整が出来る。これは仰向けになると下あごが後ろに下がる事によって、起きている時とは違う場所で上下の歯が当たる様になる。ほんのわずかな移動なのだが、これが噛み合わせの不良となる。
よく、歯科治療後に噛み合わせが少し悪い事を訴えると、しばらくすると慣れるからと言われる場合があるが、これを我慢するとあごの開きが悪くなったり、頭痛などの発症がある。以前、施療した方では、はっきり一ヶ月前から頭痛があると言い、詳しく聞くと一ヶ月前に歯科治療をしたと話してくれた。
自分自身でも噛み合わせをきちんとした時には頸椎の動きが非常に良くなった事がある。口を開ける時もあごが左右に振れなくなっていた。カイロプラクティックでも顎関節症の施療法もあるが、まずは頸椎の調整と噛み合わせの調整を行う事が大事と思う。
首の痛みで来院した方からの質問で枕の高さを聞かれる事が多い。 仰向けで寝る場合と横になるときでは当然高さが変わるので一概にどの高さが良いとは言えないのだが、壁に背中と踵を着けて立ち、真っ直ぐ前を見たときの背中と後頭部の間が枕の高さと思う。実際に寝る時には枕に
頭が沈み込むのでその分を高くした方がより良い。
しかし、胸郭が薄く、後頭部が少し出ている方では、枕をすると頸椎が屈曲してしまい、仰向けに寝ているだけで、頸椎の後弯が無くなるストレートネックの形になり首に痛みが出る事になる。日本人の頭の形は上から見ると丸い形か三角に近い形であるが、欧米の方は後頭部が後方に出ているのをよく見かける。(そのため帽子が似合うという話しも聞く)映画などを見てると羽枕を二重にして肩を乗せる様にしているの見た事があるが、肩を枕に乗せる事で後頭部が枕に沈んでも頸椎が後弯にならない様にしているのでないかと思っている。
以前、アメリカ人と日本人のハーフの女性を診た事があるが、平らにしている施療ベッドに仰向けになると後頭部が後ろに出ているため顎を引く様な形になる事に気がつき、上記の様な事を思いついたのである。
頸椎に不調のある方は枕をはずし、バスタオルを何度か畳んで高さを変えてみて、自分にあった高さを見つける方法があるので試してみてはどうだろうか。また、タオルを丸めて首の下に入れて少し頸椎が持ち上がる様な高さにしてみるのも良いと思う。
肩こりを始め、首から肩にかけて張りなどの症状がある場合は肩甲骨を動かすと症状の軽減がある。メスメディアでは肩甲骨はがしというものをよく見かけるが、肩甲骨まわりの筋肉をほぐそうとするよりも鎖骨を動かす様にする事がより効果が良い。
肩甲骨が体幹と繋がっているのは肩鎖関節と胸鎖関節なのだが、大きく動くのは胸鎖関節であり、この関節の動きが少なくなると肩甲骨の可動域が少なくなる。肩こりの方の胸鎖関節を触診すると動きの左右差や可動域の現象が多く観られる。 本来であれば胸鎖関節の動きを確認して動きが悪い方を調整すれば良いのだが、セルフケアでは全面的に動かす方法が良いと思う。
椅子に座っている時には、肘を外側に肩の高さまで挙げて、肘を後ろに引いて行くのだが、肩の関節で腕を動かすのではなく、左右の肩甲骨をくっつける様な感じで肘を引いて行く。胸を開くという表現をする方もいる。それほど強い力でなくてよく、3〜5秒程度止めてストンと脱力する。これを3〜5回程度行い、次は肘を前に押し出して腕を交差させる様にして3〜5秒止めてストンと脱力をする。こちらは胸をふくむと表現している。
仰向けでも同じ方法で行える。肘を外側に開いて肘を布団に押し付ける様にすると肩甲骨がよく動く。そのまま肘を身体の前で交差する様にする。 就寝前とか起床時に簡単に行えるの肩こりがある方はお勧めする。