以前ブログに尻もちを突いた時の事を書いたが、階段から転落して坐骨を強く打った時も同じことが起きる。
10年ぶりにいらしたクライアントさん。職業はパソコンで設計をしている。話しを聞くと2週間前に腹筋をして、その後洗車をしてから腰に痛みが出始めて、先週は仕事を休んでいたと言う。座っていても立っていても痛みが出ていたという。
本日、朝に電話が来て夕方に予約戴いた。検査をすると右仙腸関節に後方変位がある。改めて聞いてみると、一年半ほど前に階段から落ちていると言っていた。どこをぶつけたのか覚えては無いがかなり痛かった様子である。
おそらくその事が原因で、右仙腸関節の後方変位が起きたものと推察される。後方変位と言うのはほとんどが外傷性で尻もちや階段、脚立等からの転落で起きている。
調整を行うと立っていた時の痛みや違和感がだいぶ軽くなってきたそうだ。ただし、仙腸関節の後方変位と言うのは、関節内で傷が出て来てしまい、その傷をしっかり回復させないと、動いている最中に傷が引っかかり、仙腸関節の運動を停めてしまう。
仙腸関節が動いていないと、腰痛や肩こり頭痛に至るまでいろいろな症状が引き起こされる原因になる。調整後はアイシングをしてもらい、仕事の都合で来週に施療する事とした。
エコノミークラス症候群と言うのは、飛行機長く座っていたスポーツ選手がこの病気になり一般的に言われる様になったのだが、なにも飛行機で座っている時だけではなく、デスクワークの方が長く座っていても起こりうる事である。
この病気は、脚に血液が溜まり血栓をつくり、出来てしまった血栓が心臓や脳の血管を詰まらせると、命の危険に陥ると言う事である、現在、熊本で被災された方が車中泊をしているようだが、充分注意して頂きたい。
心臓は脚の血液を心臓まで引き戻す力は無く、脚の筋肉を動かす事で血液を心臓まで戻している。脚の筋肉の収縮がポンプ作用となって心臓まで血液を押し上げているわけで、そのため心臓に帰る血液、つまり静脈には弁があり血液の逆流を防いでいる。
したがって、脚を動かさないでいると血流は滞り、血液が固まり血栓となる。これを防ぐには脚を動かす事しか方法は無い。一番よいのは歩く事であるが、デスクワークの最中に歩く事は出来ないであろうから、つま先を伸ばしたり(足首の屈曲)踵を押し出したりする(足首の伸展)運動をお勧めする。
これはふくらはぎの筋肉を縮めたりストレッチする事で、筋肉のポンプ作用を使っている事になる。これなら、デスクワークの最中にでも行えるし、狭い車の中でも簡単に行える。また、膝の屈伸運動も効果的である。
先週インフルエンザで施療を休んだ方がいらしたので、発熱について書いてみた。
発熱は風邪やインフルエンザの際に、身体が免疫力を上げるために起きる事で、実は喜ぶべき事である。身体が病気に対してきちんと反応している証拠であるからだ。
風邪を引いた時など感染したと言う情報を元に発熱の指令が出て、決めた体温まで熱を上げる事になり、決められた体温になるまでは体温が下がる事は無い。 発熱しないと言う方は免疫機能が低下しているのではないと思う。
解熱剤で熱を下げると薬の作用で一旦は熱が下がるのだが、薬の効果が切れればまた熱は上がる。それを繰り返すと熱が下がりにくくなり、いつまでも熱が高い状態になる。
しかし、発熱は必要な事であるが、脳にとっては非常な負担である事を忘れてはならない。体温は高い状態で維持して、脳は冷やす事が大事になる。脳はタンパク質で出来ていて、タンパク質は高温になると変性して硬化する。これは、水に生卵を落として、それを熱していくと、透明だった白身が40℃近くになると白く固まってくるのと同じ事である。 そして、脳の温度が42℃になると人は死ぬ事になる。だから、水銀体温計は42℃までだったのである。
免疫を高めるため体温は上げ、脳を守るため頭は冷やす。頭寒足熱は間違っていない事になる。 そして、もう一つ忘れてはならない事がある。発熱にはパイロジェンと言う発熱物質が必要なのだが、加齢によりパイロジェンは減ってくる。そうすると、当然発熱しにくくなる。老人の肺炎は死亡原因になるが、パイロジェンが少なくなっていると体温が上がらないため発見が遅れる事になる。これを無熱性肺炎と呼ぶようである。この様には発熱が無いと言う事は非常に怖い事である。
これを書いているうちに思い出したのだが、カイロの学生時代、生理学の体温調節の授業で上記の話しをしていて、最後に教授が「なんで、病院は薬を出すんだ?」と言い、答えに困っていたら「薬を出さなきゃ病院が儲からないだろ」と言っていた。
命がかかっている場合は薬も必要だが、風邪とかたとえインフルエンザであっても薬は必要ない。しっかり休んでビタミンCと水分をとり、頭を冷やしていればそれでよいのである。