大腿四頭筋の筋トレの前にもう一つ。これは整形外科医の書いた本なのだが、タイトルは『考える膝』というものでいままでの関節の安定は筋力を付けるという考え方を大幅に変えるものであった。
膝を痛めた時に、膝は大腿四頭筋を萎縮させると書かれている。理由としては、関節を守るために筋萎縮をさせ膝を休める様にしている。という事である。 実際、自分の話しになるが、左膝を痛めた際に「外側広筋」という大腿の外側の筋肉が萎縮して立ち座りに不便を感じていた事があった。アイシングをこまめに行い痛みと腫脹が治ってからは自然に筋量が元に戻った。したがって、筋トレをする事よりも膝の障害を治した方が正しい方向ではないかと思っている。
では、筋トレの方法だが、一番良いのは「スクワット」であろう。背中を丸めない様にしながら膝を90°近くにまで曲げて伸ばして行く方法になる。 この時の歩幅は肩幅より少し広くとりまっすぐにしゃがみ込む様にする。どうしても上半身が前に倒れる時には壁や、柱に掴まっても構わないので、転倒しない様にどこかに掴まって行うのが良いと思う。上記の写真の様に椅子の背もたれでも良い。
回数としては5回から10回程度でよく一日に2〜3セットで構わない。また、やっては行けない筋トレは、椅子に座り足首に重りをつけて、床から足首を浮かしていき膝を真っ直ぐに伸ばす様にする方法なのだが、これをすると足首が床から離れる時に膝関節が引き伸される様になり、関節を痛める事に繋がる。
残念な事に病院での筋トレの指導はほとんどがこの方法になる。 また、椅子に座って両手で痛めている膝を、膝の裏か持ち上げる様にして、膝から下をぶらぶらさせると言う方法であるが、これもお勧めできない。どちらも関節が剥がされて行く方向なので関節を痛めてしまう事になる。
呉々も痛みが強い時には行わず、膝の炎症をとるために日頃よりアイシングをする事をお勧めする。もちろん日頃の歩行とカイロプラクティックの調整も大事な事になる。
膝を痛めてるクライアントさんに聞かれた事なのだが、一般的には膝が悪い方は膝関節を安定させるための、大腿四頭筋が弱くなっているので大腿四頭筋を鍛えなさい。と言われている。
この相談者は、5年ほど前に階段で脚を滑らせて膝に痛みが出ている。かなりの痛みのため病院に受診したが、レントゲンのみで異常なしと診断された。
この方は10年ほど前に施療に来ていた方なのだが、最近になり再来院していて頸椎と肩こり、文字がうまく書けなくなったという事で施療をしている。調整中にふと膝が気になり、膝関節の検査をすると、膝十字靭帯のうちの前十字靭帯が伸びている事が解った。
残念ながら靭帯は一度伸びてしまうと元に戻る事は無いのだが、関節の調整、アイシングを行うと僅かに戻る事もある。そのため初期の治療が大事になる。病院受診の際に発見できていれば、もう少し治療の方法があったかもしれない。
さて、膝のための筋トレの話しなのだが、大腿四頭筋を鍛えるというのはいささか疑問ある。なぜなら、筋肉を強くしても歩行時おいてはそれほど強力な筋力は必要としないと思われる。現在の筋力を維持する事の方が大事だろうと考えている。 それに、鍛えて付けた筋肉は鍛え続けないと、すぐに元に戻るのは運動をしていた方はお分かりだろう。もちろん、筋トレが悪いとか必要がないというわけではないことをお断りしておく。
次回へ
お子さんが通っている学校のイベントで、「お母さんも体を動かしましょう」という事で、エアロビの様な体操を行ったところ、腰痛になったしまったとの事。
以前も腰痛で施療していたのだが、症状がほぼ消えた時に学校が春休みになり、施療に通えなくなっていた。今回は左側の腰に痛みが出て立位姿勢分析、骨盤が左にスライドしている。そのため座位では腰椎が左に倒せなくなっていた。
現在は靴下を履く様な動作で痛みが強く出ている。いわゆる「ギックリ腰」に近い状態である 調整をすると腰椎の動きは良くなり、痛みも軽くなるのだが、動きやすくなると買い物等で少し無理をして痛みがぶり返したようだ。
この方は腰椎のゆがみのために普段から左側の筋肉が引き伸されていて、体操によりその筋肉をさらに引き伸した結果、今回の腰痛の原因と思われる。自宅でのアイシングをして頂いている。
体操やストレッチは柔軟性を高めるために行っているのだが、場合によっては筋肉を引き伸しすぎて体を痛める結果になる。注意する事が肝心である。 痛めた場合は安静にして、痛みの強い場所をアイシングする事。腰痛は動いて治せという方もいるが、受傷直後は安静が大事になる。